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すまいる生活エッセー
第8回
ニンビー(NIMBY)な人々とマンション紛争について考える


 何のコマーシャルだったか忘れたが、俳優の大滝秀治が「つまらん。お前の話は実につまらん」というのが、気になっている。今回はまじめにマンション紛争について考えるコラムなのだが、岸辺一徳演ずる息子のようにつまらん、と一喝されないようにおびえながら書く。


 私の裏庭ではゴメンだわ


 都市再生を巡る専門誌の特集対談の中で都市計画専門の大学教授が面白いことを言っている。市役所がプラタナスを植えたら「日当たりが悪くなるから切ってくれ」という抗議がきて、市が木を全部切ってしまった事例や、公園を作ろうとすると「子供が集まってうるさいから反対」という声が出る現実のことを挙げて、「東京ほどNIМBY(not in my back yard)が徹底している社会は無い」といっている。ニンビーとはノットインマイバックヤードの略で「私の裏庭ではだめ」という意味だ。


札幌のマンション建設でもニンフィーが



 札幌でもマンションの建築反対運動が結構多くなっている。そのほとんどが既存マンションの住民からの声で、マンションの用地担当者の頭を多いに悩ましている。自分たちが住むマンションができるときにも同様の問題があった可能性があるはずなのに、自分のマンションの窓の前だけには作るなということである。つまりノットインマイフロントヤード、NIMFY(ニンフィー)。この論理でいくと、一定の圏内では一番最初に建てたマンション以外は建てられない街になってしまう。こういう問題が都心型マンションにはつきもののようになってきた。一旦紛争がおきるとマスコミはマンション建設自体が悪であるかのごとく書きたて、ニンフィーを煽る。




都心の土地高度利用の逆説が生まれ


 現在は郊外の戸建て住宅地が売れ残り、都心のマンションが増加する都心回帰の時代になってきている。インフラが整備された都心居住のニーズが高まってきているのだ。都市計画上では、都心は高度利用すべき土地として位置づけられ、建蔽率や容積率が高く設定され、その分地価も高く評価されるのが一般的である。しかし、最初に建てられたマンションの周辺にはマンションが建てられないということになれば、実質的に高い建蔽率や容積率は無効になってしまうということである。マンションの周辺の土地の価値が著しく減じる結果になる。まるでマンションは「嫌悪施設」のような役割を果たすことになるのである。


  一棟目から配慮が求められる


 問題が発生する原因は、先に建てられたマンションが将来隣接地に中高層建物が建つという可能性を踏まえた設計になっていないという点にもある。現在たまたま隣接地が空地になっているからといって、その方向にやたらと窓やバルコニーを設置すると、当然隣地に建築物が建てられるときに紛争がおきる。ニンフィーなマンションは建築時点でニンフィーな形状をしているということになる。「火のみ櫓」型マンションの開口部は限られた条件でのみ全部の採光が保てるのであって、隣接地の利用如何では変化する。



 都心とは、高度利用と採光環境の制限とが共存しあう場所である。そういう意味では、すべての採光条件を外部のみに依存する外部採光型マンションだけでなく、内部採光を考慮したコートハウス(中庭のあるマンション)などがもっと都市建築物として考えられるべきだと思うのである。


住み手と開発者の交差点にいるコーディネイターの役割が大切に



 今回の住まいる会議は札幌市内で数多くのモデルルームのインテリアコーディネイトを手がけている潟~ックスの村本さんからお話をうかがった。住み手の認識と売る側の論理との交差点にいるコーディネイターの出番はもっともっと必要になるだろうと思っている。




(不動産市況アナリスト 志田真郷)
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