高嶺の花のコンクリート住宅を企画性高く供給する
マンションが売れている理由にマーケティングを踏まえた企画性の高さがある。戸建て住宅でも建売の形で供給側の企画性が高ければ、ユーザーに好感される商品ができるはずである。そんな観点から新たに供給されているコンクリート三階建て住宅の供給メーカーに話を伺ったが、しかし、聞き手には別な事情が・・・・
三層で屋上がテラスになるコンクリート住宅が複数並ぶと、街区イメージがあがる
今回のスマイル会議は日崎建設スターハウス事業部の志賀次長に話を伺った。日崎建設は本社が帯広で、新しい工法を確立して全国にフランチャイズ網を持つ大発展中の会社である。主にヒーローマンションシリーズで知られるＲＣ賃貸マンションの供給、管理で知られている。
その日崎建設が一般には高嶺の花といわれているコンクリート戸建て住宅をより買いやすい商品として供給すべく展開しているのがスターハウス事業部である。札幌での展開は十戸程度のまとまった三階建て住宅を建売の形式で販売している。
都心の利便性の高い場所に屋上も使える考えられたプランの住宅が全体の配置もうまく構成されて売られている。低層マンションの趣もある。それぞれが別個の所有権で戸建ての形だが、まとめて複数を供給しているから、町並みが計画的で、美しい街区の景観を作り出し、評判がいい。志賀次長の話は筆者も考えてきた新しい「建売」のイメージと重なり、楽しい対談となった。しかし、筆者は大変な状況を抱えていて、結構あせっていたのである。
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まずデータありき
というのは、対談の三日前に愛用のノートパソコンが壊れたのである。「パツン」という音ともに画面が真っ暗になった。電気を使いすぎてブレーカーが切れたような感じである。再起動して見るとイニシャル画面が出てパスワードを聞いてくるが、その先に移行しない。冷や汗が出てきた。仕事がびっしり詰まった土曜日の午後である。月曜日にはそのマシンを使ってプロジェクターで画面を映しながら一時間半のセミナーをする予定なのである。さらに次の日には対談があり、マーケティング分析リポートの納品が控えている。最悪なのは忙しさにかまけて２ヵ月近くバックアップを取っていないことである。相談しようにもパソコンメーカーも天下のマイクロソフトのサポートセンターもしまっている。買った店に駆け込んだが、結局月曜日にメーカーに持ち込んで、それからの話ということになった。さて、どうする。
筆者のメインの仕事は住宅・不動産に関するマーケティング分析である。マーケティングというのは買い物に行っていくら「まけてくれるのか」を競う技術ではない。まじめな話、どこで何をどうつくり、いくらで売り出せばいいのかを「考える」仕事である。考えるといっても、ひざにひじを乗せ、その上にあごを乗せて額にしわを作れば考えられるわけではない。それでいいなら、ロダンのモデルのように裸になって台座に座ってやる。さまざまなデータから、マーケットの状況を読み解き、ある条件のマーケットを想定して、需要が発生するかどうかという「蓋然性」を検証する仕事である。要するにデータがなければ「新しいものが好きそうで直観力がありそうなふりをした男が、調子よく」「あれも売れたから、これも売れます」といっているに過ぎないことになる。
結局深夜３時ころに別なマシンで壊れたノートパソコンからデータをほぼ復帰させることに成功した。さらにセミナーの準備が終わったのは月曜の朝５時ころであった。結局その週は二日間の完全徹夜となり、疲労困憊の週末を迎えた。金曜の夜の旧友達との酒宴は友人のコンクリート住宅内で敢行されたが筆者の異常な操状態の中で駄洒落連発、阿鼻叫喚、酒池言林の一夜となった。
今私のわがままなノートパソコン「Ｗ子」は修理に出されている。結構性能がよく、器量もよかったＷ子だが、身体が弱かったのである。六ヶ月の命で修理に出された幸薄いＷ子が今、ばらばらにされているのかと思うと心が痛む。
（不動産市況アナリスト 志田真郷）
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