都心と住まいと心地よい空間と・・
最近は戸建住宅にも新しい波がやってきている。外部デザインもさることながら、内部空間にも新しい工夫がある。マンションが切り開いてきた都市居住の流れが戸建ての新しい波と融合して、より楽しい都市生活が描かれ始めている。
徹夜と街とジャズとマーケティング・・
マンションの広告戦略についてのプレゼンテーションが近づくと、ほぼ二日おきに打ち合わせがあり、二日前から徹夜モードになっていく。深夜二時から朝五時くらいが集中できる時間。現在はプリンターとパソコンの進歩で印刷時間が大幅に短縮され、その分データ作りの時間が長く取れる。
朝五時前後に街を車で走っていると、不思議な空気に触れることができる。紫色と灰色が混じった霊的な街空間をジャズピアノを聞きながら疾駆する時間は何事にも変えがたい。家に着いてビールを飲み、熱くなった頭をクールダウン。血液が体をめぐるようになったころ眠気が襲う。
マーケティングはロジカルな作業だが、一旦取り掛かると様々な部品の不足に気がつき、部品作りと全体の組み立ててという二つの異レンジの作業を繰り返していく。しかし、ある部品を組み立てたときにその部品が実は全体ロジックに重大な影響を与えることに気づく場合がある。マーケットは時間や商品や価格、ブランドによって様々に決定要因のウェイト付けが変化するからだ。
本来はマーケティングが先行し、商品作りの前段階からかかわっていくことが必要だが、多くの場合は商品企画が先行して、販売戦略の段階でマーケティングが求められるという逆転現象がおきている。また、販売主体と商品供給主体が違うケースも多く、意思決定に至るプロセスが複雑化している。徒労に終わる徹夜も少なくない。
先日、ある勉強会で講師を務めた後、数人で福井良さんの店に行って久しぶりにライブを聞いた。若いころに良く聞いたメロウドリームは演奏されなかったが、疲れた頭がほぐされていく心地好い時間が過ごせた。仕事と街とジャズが融合していく。そんな感覚が好きだ。
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都市空間と住宅、外部空間を内側に取り込む新パブリック空間の融合・・・
今回のすまいる会議では住友不動産ハウジング事業本部北海道支店宮方支店長にお会いした。新しく発表された「ジェイ・アーバン」は中庭を持つコートハウスのシンプルモダンタイプ。奇しくも前回の本欄でコートハウスに触れたが、偶然の一致は恐ろしい。都心の戸建てがたどり着いた商品と、私が現在かかわっている札幌でのマンションの商品がほとんど同じコンセプトで進んでいる。
住まいと都市空間、そして外部空間を内側に取り込んだ新しいパブリック空間が融合していく、そんな商品への渇望が様々な分野で発展し、新しい商品が作られ始めているのである。うれしくなって話が弾んだ。対談後は宮方さんは、専ら筋力トレーニングの話に打ち込んでいた。相当なトレーニング好きのようだ。こだわりの筋肉マンがシンプルモダンのコートハウスを販売しているのである。丈夫でカッコの良い住宅のイメージと重なる。
北海道の一番美しい季節がやってきた。
さて、北海道は桜の季節である。桜からリラ、アカシアと順に街の中に花がはじめる美しい季節が訪れた。
少し身体を鍛えなおし、新鮮な空気を吸って、血液をさらさらにしたいなあと思っている。その前にいくつか仕事を片付けなければいけないのだけれど。
注 この回で本コラム終了、というよりも、「すまいる生活」という雑誌自体が突然休刊となり、連載が終わりました。
（不動産市況アナリスト 志田真郷）
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