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2004年12月巻頭言

17年の住宅減税は小幅、中古関係の改善のみ・・


平成17年度の税制改正の内容がほぼ明らかになった。


 毎年12月に自民党税調から政府税調を経て、明らかになる新年度予算案と、税制改正の内容が、住宅業界に深い影響を与えている。とりわけ、住宅金融公庫の直接融資からの撤退が来年から実施される方向でまとまっており、ここ数年住宅金融公庫の融資戸数が急激に減少して、その影響力を急速に薄れさせている現在、税制改正の影響力が住宅業界に与える影響が相対的に重要になってきている。わが国の住宅政策が税制と住宅金融公庫融資との二本柱から税制一本へと、基本を変化させてきているからだ。


 そういう意味で、今年の税制改正の内容には、相当に注目していたのだが、結果から見ると、住宅政策面では、中古住宅の税制において若干の改善があったものの、全体としてはほとんどみるべきものが無いという結果に終わった。「住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除などの適用対象となる既存住宅の範囲に、地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準又はこれに準ずるものに適合する一定の既存住宅を加える」というもの。事実上中古住宅にかかる築年数の撤廃ということである。


 当初の国土交通省の要求の段階では、省エネ工事にかかる工事費の一定割合を所得控除するという内容のものがあり、京都議定書批准時代の先取り政策として、注目していたが、最終段階では、あっさり削られてしまった。


 たしかに、新築を動かすには中古住宅を動かせなければならないというのは、その通りである。住宅ストックの全体の質を向上させる観点から、構造上の基準を明記して結果的に耐震工事の促進を図ろうという趣旨も明快である。しかし、現在住宅に求められる住宅の質は、耐震性能面だけでは不十分である。


 業界団体などによる政策要求運動もこれまでと同様に恒例行事のように行われているが、公庫無き時代の税制要求運動としては、理論面における態勢を再構築して布陣を敷きなおす覚悟が必要になっているように感じられる。


 
2005年は人口増加時代が終わる年・・・・・


 2005年は、わが国の人口が増加から減少へ、大きく変化する年である。北海道はすでに人口減少時代に突入しているが、これが日本全体の傾向となる。


 高齢化が進展して、生産人口が減少し、非生産人口である高齢世代比率が高まり続ける。つまりタックスペイヤーが減少するという時代である。これに対応して、税負担を高めていこうという政府の姿勢が明確に示されたのが15年からの予算案であった。その傾向が毎年強化されている。景気の回復感が現れてきても、予算策定時には、マーケットがそれに対して効果的な景気策が見当たらないとして、失望感をあらわして、株価が下落するという現象も、ほぼ毎年繰り返されている。


 年金生活者という、一種の「完全なる消費者」を大量に生み出しながらも、働く生活者に展望が見えない時代は、不安や忍耐と、楽間的な生活感とが同居する、成熟社会の末期症状のような様相を呈してくる。完全なる消費者という「パラダイス生活感」と、働いても働いても税金が上がって収入が増加しないという「生活感」とが同居する時代である。


 電通消費者研究センターが毎年年頭に発表している消費トレンドにおける2005年予測では、8つのキーワードを示している。その中の一つに「MELOS」(明治アンド江戸コンシャス ライフスタイル オブ サスティナビリティ)という項目がある。「優れた循環型社会であったといわれる江戸・明治のライフスタイルが見直され、その知恵を活かした商品開発や生活スタイルが普及する」というものである。


 確かに、住宅においても、和風回帰の動きや、細やかな生活の知恵が感じられる住宅設備が見直されている。、シンプルアンドモダンという表現の背後では、和のシンプル感が、様々な形で表現されてきているように思える。



 家族化とNLDKとで進められてきた戦後の住宅作りも、いよいよ、大きな転換期に入ってきたのだということであろう。今年もまた、多くの商品がマーケットでその成果が問われる。それらが新しい可能性を見出す形で発展的に登場してくることを期待している。


2004年12月
       不動産市況アナリスト 志田真郷


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