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2004年11月巻頭言

環境問題に対する対応が基本課題に・・


来年度税制改正審議が大詰めに、増税基調の中で、住宅需要はどう展開していくのか・・・・


 今年の住宅着工の動きが9月まで判明しているが、札幌市での回復傾向と北海道全体での横ばい、つまり、札幌市の一人勝ちの様相が徐々に判明してきている。さらに賃貸着工が6月以降快調で、札幌での着工は昨年実績をかなりが上回りそうな情勢になってきた。


 経済においては、上場企業の黒字決算と地方および中小・零細部門の苦闘が伝えられている。経済が大きな踊り場に差し掛かり、構造改革の進展による効果が表れているところとそうでないところの差が大きく現れるようになってきている。まさに構造改革の「光と影」が鮮明になってきている。


 来年度予算審議が大詰めに来ている。12月後半には自民党の税制改革の方針が明らかにされるだろう。財政の悪化に対して、構造改革と増税がセットになってこの2?3年、毎年増税が推し進められている。増税による高負担社会の到来と2007年問題といわれる団塊世代のリタイアが同時進行する社会のなかで、働く現役世代に対してどのようなビジョンを示すのかという視点が欠如すると、経済は本末転倒となり、活力が著しく欠如する社会になりかねない。これまでの構造改革一本やりの政策体系の中ににわかに新しい課題として浮上してきているのが「京都議定書」に対するロシアの批准が契機となって2月から発効する環境問題の視点である。


 環境目標の達成に重要な意味を持つ住宅性能・・・・・


 CO2の排出量削減の課題に対して、これまでは米国の離脱が発表され、実現が困難視されていたが、ここへ来て、にわかにロシアが批准を表明、これによって加盟国の55パーセントが批准することになって来年2月から京都議定書が発効する見通しになってきた。


 CO2の削減に対応して、運輸部門や産業部門は企業を通じて様々な規制と誘導が行われ、新技術の導入を軸にかなりの水準を達成しつつあるが、ほとんど効果が上がっていないばかりか、排出量が増加し続けているのが「民生部門」である。個人の生活を基盤とするCO2の排出規制については、企業部門と違い、実効ある方策がとりにくいのであろう。


  特に民生部門で重要な意義を持つのは住宅の性能である。省エネとしての冷暖房効率や、長期耐久性建築物による環境効果など、これまでも様々な取り組みが進められてきたが、デフレ経済の進展で、「価格」に注目が集まって、性能が重要視されない風潮が醸成されてきている。さらに、住宅金融公庫の業務縮小に伴って、これまで行われてきた住宅性能に対する規制や誘導が著しく「緩く」なってきている。

17年税制で性能税や省エネ誘導税が導入される?


 おそらく、17年税制では住宅に関する税制が新たな焦点となってくるだろう。これには二つの理由がある。ひとつは環境の視点、もうひとつは、住宅金融公庫の業務縮小に伴って、日本の住宅政策の力点が税制側に大きく傾いていくという視点である。


 日本の住宅政策は、税制と住宅金融公庫の融資の枠や額などを性能とリンクさせて行われる2本の柱で構成されてきた。しかし、一方の柱である住宅金融公庫の業務縮小が既定方針であるため、住宅政策の力点が税制に大きく傾くということである。論理構成が明確な税制論議が求められるところだ。


 省エネのための住宅性能工事や耐久性アップのための工事などが優遇される税制の柱が構成されていくことが予想されるが、はたして、どこまで、業界が対応できるか、数多くの課題が浮上しそうな新年度税制である。


2004年11月
       不動産市況アナリスト 志田真郷


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