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2005年4月巻頭言

不動産投資信託は市況を活性化するか


絶好調のJ-REIT 今年は一兆二千億円、四百件の買い増しか?


あいつぐ不動産投資活発化の報道


 不動産投資の活発化を示す様々な報道が相次いでいる。週刊東洋経済4月16日号は「不動産底入れ」という特集で、全国の地価上昇地点の分析を行っている。サブタイトルは「土地インフレが始まる」というなんとも刺激的なもの。また、週刊「エコノミスト」5月3・10合併号では、「インフレの足音」という特集で「土地に流れるマネー」の記事が掲載されている。中国のオリンピック景気から始まった素材インフレの流れが、本格的なインフレへとなっていくのかどうか、という経済観測のさ中、全国的に大都市部の地価の底入れが始まりつつあるという「公示地価」の発表が3月末に行われ、不動産に対する投資の本格化についての分析がにわかに活発化してきているというところだ。


 また5月3日付けの日経新聞の三面には、「不動産投信 マネー吸引」の見出しで10段記事がある。それによると東証に上場されている不動産投資信託15銘柄の時価総額合計は四月末で二兆円を突破したとのこと。今後、今年度中に10程度の法人が上場する見通しであるとされている。また、これまでは、ビルやマンションなどを主体として取得してきた不動産投資信託だが、これからは、多様化し、五月に上場予定の三井物産系の日本ロジスティクスファンド投資法人は物流施設の取得に特化する方針だという。


 同記事では、さらにビー・アール総研(東京)によると、昨年度末に二兆三千六百億円491件だった不動産投資信託の累計取得金額と累計取得件数が今年度末には三兆五千六百億円、九百件になる見通しだという。つまり今年度は新たに、一兆二千億円、四百件ほどの不動産が不動産投資信託に取得されるということになる。
J-REIT誕生のプロセスと意義


 98年9月に施行された「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律」(SPC法)によって、わが国の不良債権の処理過程において、不動産を切り離して処分できる枠組みが出来上がった


 2000年には投資信託法の一部が改正されて不動産を対象とする投資信託業務ができることになり、2001年には不動産投資信託(REIT)が登場した。以来、不動産投資信託は毎年のように拡大を続けて今日に至っている。


 この過程を意義付ければ、特定の個別不動産を他の資産と分離して優良資産として再生するための法的手段が確立され、その取得・運用資金が私募型ファンドとして募集される段階があり、その後、不動産専門の投資信託会社が登場し、複数の不動産を運用するファンドそのものが上場されることによって「商品化」されるという段階を経て、不動産と金融が合体した新しい資産マーケットが出来上がったということである。


収益の上がる不動産の買い進みが進行、見逃せないファンドマネーの動き


 さらに最近は、私募ファンドに年金資金が投入され始めたり、デベロッパーの中には、開発型証券化を図るところも登場し、不動産の活用とその資金調達の方法が大きく広がってきている。



 この背景には、ペイオフの完全解禁に伴って、多くの資産が流動化し始めていること、減損会計の導入に伴う遊休資産の処分が続いていること、大都市圏を中心に不動産需要の活性化が見られることなどがある。また不動産価格の底入れが始まっているというマーケット環境の大きな変化もある。筆者が確認している情報でも、札幌市内で、分譲マンションの予定が途中から一棟売りに転換されたという話もある。また、賃貸住宅建設のうちRC・SRC系の着工が増加している。さらに不動産業者の中では、売りアパートで急に忙しくなってきたという話が相次いでいる。


 なにかバブル時代を髣髴とさせる動きではある。しかし、注意しなければならないのは、現在の不動産投資ブームを牽引している不動産ファンドは、あくまでも不動産の運用益配当をベースとする金融商品であり、地価が上昇して発生するキャピタルゲインを目指すものではないということである。不動産需要(賃貸の実需要)のマーケティング分析が無い不動産投資は、依然として無謀な投資であることには変わりは無い。
2005年4月
       不動産市況アナリスト 志田真郷


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