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2006年7月巻頭言

首都圏マンションマーケットでは、秋口から新価格物件登場。地価上昇が始まる・・・・


 今週発売の経済誌二誌が首都圏のマンション特集を組んでいる。一誌は「週刊ダイヤモンド」で、表紙に打たれたタイトルは「マンション底値買い」。もう一誌は「週刊東洋経済」。同じく「価格高騰、損しないための一冊、マンション狂騒」というタイトル。いずれも首都圏マンションの価格高騰が始まる寸前という内容のものだ。不動産とは別だが、会員制経済誌の「日経ビジネス」では「脱デフレで始まる新価格競争、売れる値上げ」という特集を組んでいた。


 要するに、日銀のゼロ金利解除を受けて、住宅ローン金利の上昇が開始されるだけでなく、様々な局面で利上げ、価格上昇が開始される「新価格」の時代が始まるという内容のもの。それらが、一番目立つのが、地価上昇などの影響による分譲マンションの価格上昇。都心用地の取得困難に加えて、REITや私募ファンドなどの用地取得参入などの影響で土地価格が大きく上昇に転じ始めている。現在取得されたマンション用地はすでに新価格対応のもの。一方では、土地価格上昇前に取得されていた大型物件が現在販売中で、「新価格」物件が売りに出る秋口に向けて、最後の「底値」物件が動くというものだ。


 この首都圏での底値買いの状況は、札幌市におけるデベロッパーの用地取得傾向にも反映されていて、情報入手と分析、決定が早いデベでは、用地の買い進みが発生している。どうせ買うなら、もう少し金は出せるから・・・という「買い上がり」現象がおき始めているのである。REITや私募ファンドの動きは首都圏ほどではないにしろ、札幌市でも中間事業者を含めて、活発化している。価格上昇後のマーケットは一体どう動くのだろうか。見方は分かれる。
金利アップとダブルの影響、価格上昇のテンポは速い


 特にマンションの場合は、地価上昇と金利上昇がダブルで発生すると、マーケットは急スピードで変化する。住宅ローンの金利上昇は毎月返済額の増加を意味するから、同一価格でも変える年収ゾーンが変化する。要するに低所得者は買えなくなる。また、事業資金の借り入れ金利も上がるから、建築費や事業資金全体も上がり、販売金額も上がるということになる。


 マーケットの縮小、頼みの綱の公務員需要は・・


 販売価格が上がって、住宅ローン金利も上がると、マーケットは小さくなるのが当然。取得者の所得が一緒に上がっていけば、需要はついてくるが、現在では、需要者のふところが急激に良くなっているわけではない。景気の回復感が強まっているものの、消費者の所得が増加しているというよりは、株価の上昇など、新富裕層の動きが活発化し始めている程度で、堅調な動きとはいえない。とりわけ北海道はその点で弱い。北海道では、この間の需要を牽引してきた「公務員」が人件費削減の動きを受けて、立ち往生しそうな傾向にさえある。しかし、人件費削減というのは掛け声だけで、実際は新規採用の制限であって、現役世代の所得は眼くらまし程度の削減だという声もあり、しぶとい需要の頼みの綱ともいえるだろう。


郊外マンションは、成功するのか・・・・・


 しかし、現実には、札幌市の価格の上昇の傾向は首都圏よりも早く現れているともいえる。都心部の用地放出は、大手支店の遊休地処分という形で一段落し、一年以上前から用地難が始まっている。さらに、都市計画の見直しで、中央区の用地取得が一層困難になってしまった。その結果、今年の春以降デベは一斉に郊外に用地取得の視点を変え、用地取得の傾向が大きく様変わりしてしまっている。多くは団塊ジュニアの世代を中心としたファミリー需要を当て込んでいるのだ。しかし、札幌市の30代の所得はさほど上がってはいない。団塊世代の支援が無ければ需要の顕在化も難しいだろう。また、金融機関が金利アップに加えて、厳しい所得審査を進めれば、「買える需要層」は一層縮む。


 そこで、いよいよ迫った07年の団塊世代のリタイアを想定すれば、金利アップと価格上昇の二重の課題をクリアするための、さらに一段の戦略の綿密化が課題となってくるといえるだろう。

       不動産市況アナリスト 志田真郷


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