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2006年8月巻頭言

 札幌でも地価上昇が始まる・・・底値からの脱却


 問われる「新ブランド戦略」最高路線価エリアが札幌駅前地区に


 7月末に、国税庁の「路線価」では、三越前よりも札幌駅前が高くなるという、最高路線価の「首位入れ替え」戦線の模様が話題になった。これは、つまり、札幌市の地価の最高ランクの価格が上がったということ。さらに、筆者が確認している秋以降の発売を計画しているマンションのほとんどが、従来価格よりも10パーセント強高めに価格設定が行われつつあることが判明した。


 最高路線価の地区が入れ替わるということは、札幌市の都心価値が大きく様変わりしていることを示している。長期間最高地価を誇っていたのは、南一条、南二条ゾーンという「老舗」街。それに対して札幌駅前地区が長い間地盤沈下していたのは、全国的にも進んだモータリゼーションで、相対的に利用が衰退した時期と照応している。それが現在、札幌駅の大規模改築という投資が行われ、その結果として駅前地区の評価があがるという結果になったのである。全国的にも大都市の都心の再開発が進み、都心回帰の流れがここ5年ほど続いている。大きな歴史の転換点を感じる出来事だ。一方では、都市インフラに対する投資がマーケットに直ちに響いた好例でもある。つまり、「やればできる」の好例である。その意味で、今後連続して進行している駅前地下通路、旧拓銀本店ビルの改築、狸小路再開発、創成川アンダーパス工事などの都市インフラ整備計画が、どのように評価されていくかきわめて興味深い。

分譲マンションの開発にも変化が


 一方で、今年の、3月末から実施された新しい札幌市の都市計画。このことについては本欄でも何度か取り上げてきたが、都心部の「高さ規制」が導入されることにより、中央区のマンション開発が急減し始めている。この「高さ規制」の導入と耐震偽装問題がほぼ同時に発生し、札幌のマンションマーケットは、文字通りダブルパンチを食らった格好。この月に至るまで、マンション供給は昨年の30パーセント減という状態になっている。昨年は超高層マンションや再開発物件などを中心に、結構いい売れ行きを見せていただけに、今年前半の停滞は急激な事態だった。ほぼ半年間、マーケットは沈黙したといえるだろう。それがこの8月以降、にわかに活況を呈しはじめそうな勢いだ。



  しかし、金利先高懸念などがある一方で、用地難に加えて、材料高、耐震構造対策などで建築費が上がり、秋以降の新規供給物件はどれも現行価格よりも10~15パーセント程度価格が上がりそうな情勢だ。供給各社は、面積を抑えたり、様々な工夫をしているが、一番悩んでいるのは、都心から離れる傾向にある「立地」の解釈と商品内容の魅力付けをどのようにしていくかという点だ。


郊外マンションは、50代需要を確保できるのか・・・


 ここ数年マンションマーケットを支えてきたのが団塊世代を中心とする50代後半の需要と30代の需要。特に 50代の需要は都心回帰の流れに乗ったものだったが、今後は急速に立地が郊外化しつつある。中央区比率が低下する懸念がある中で、この50代需要がどうなっていくかということだ。都心のインフラの充実感を背景に高齢時代のライフイメージを描いていた世代が、郊外のターミナル近辺で満足するのかどうか。


 さらに、DINKSなどの二人暮し世代も同様だ。立地の都心化が切り開いてきた新しい需要層が、立地の都心離れでしぼんでいかないかどうか。大いに懸念される。そこで課題になるのが、「魅力ある商品企画」。多少都心をはずしても、満喫できるマンションライフの「中身」を充実していかないことには需要はついてこない。価格が上がる傾向の中では、一層それらの点が課題とされる。それらの「総体」が実はマンションブランド戦略というということである。デフレからの脱却が迫っている現在、価値あるブランドの確立が最も緊要の課題であるといえよう。          (不動産市況アナリスト 志田真郷)06年8月。


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