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Research Analysis Planning     Real Estate Marketing & Consulting Office
目次
価値論から価格論へ
サスティナブルな住宅への転換を


 かつて住宅は、地価が上がり続けるという土地神話を背景にして20年、30年程度の寿命しかない大量生産の時代がありました。住宅ローンが終わると、家も建て替えるという考え方が当然のごとく蔓延し、その結果、住宅の建物の価値はほとんど見出されないまま、スクラップ&ビルドが繰り返されてきました。


 しかし、住宅産業においては消費が美徳という時代は終わり、サスティナブル(持続可能)な住宅、資産価値の高い住宅へと発想を切り替える時期にきています。現在、道でも中古住宅流通促進協議会を立ち上げ、中古住宅の在り方について議論が進められ、長寿命住宅には税を優遇する、100年、300年持続する家は住宅ローンもさらに長期間のものを設定するなどの意見が出されています。住宅の資産価値が高まれば、中古住宅という表現も変わっていくと思います。



 では、資産価値のある家はどういう家を指すのでしょう。これにはまず、住宅をスケルトン(骨組み)とインフィル(内装・設備)に分けて考える必要があります。スケルトンは当然、100年、300年と持つ基本部材や構造の下に建てられ、柱などの部材も森林再生サイクルに即した60年、70年使用できるものを使うのが理想です。実際、1000年以上も持続している寺院などもありますから、これは不可能なことではありません。


 消費する家から価値のある家へ


 そして、インフィルに関しては自分たちが生活している間に消費し尽くすことを前提に、交換が容易で、無駄な修繕の費用を抑えた設計が求められます。配管の修理のために床をはがしたり、屋根の塗装のために費用がかかる大掛かりな足場を組まなければならない家では意味がありません。イニシャルコストは抑えられても、結果的にはLCC(ライフサイクルコスト=総トータル経費)が掛かる家となってしまいます。また、戸建て住宅においては、土地も資産となりますから、将来的に地価が下がらない場所、上昇下落のリスクができる限り回避できる場所を選ぶことも大切です。


 つまり、住宅のLCCをいかに減らし、さらには製造・運営・廃棄におけるLCCO2(ライフサイクル二酸化炭素)が少ないことが、結果的に資産価値の高い家となり、消費する家から稼ぎ出す価値のある家となるわけです。江戸・明治時代には優れた循環型社会が確立され、古い建物が社会の資産となり、町並みや文化を形成していました。現代の住宅においても、量から質へと発想を切り替え、資産価値のある家づくりが望まれているのです。


(不動産市況アナリスト 志田真郷)
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